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◆逆浸透システムの歴史
環境先進国・アメリカが生んだシステム
 逆浸透システムは、アメリカが発祥の地です。アメリカが、日本より早くあらゆる環境問題に取り組んでいることは、少しでも環境に関心のある人にとっては常識です。

逆浸透膜テスト  たとえば診療の基準ひとつをとっても、日本よりはるかにその産業基準は厳しいものとなっています。これは、その根底に「契約」があるからです。アメリカのような多民族国家で、生活習慣が異なる民族、人種が暮らしていくためにはルール作りが不可欠です。日本人からすれば「そこまで細かく契約、契約といわず、人間同士、話し合えばわかるだろう」と思うことでも、アメリカ人はそうは考えません。

 万事に契約が常識となっているアメリカでは、当然、商品の開発・販売も環境を守るという観点から厳密なチェックがなされています。その商品が世に出て、万が一、消費者から安全性や有効性の面でクレームがつくようなことがあれば、待ったなしで訴訟が開始されます。

 そうした社会風潮の中では浄水器の開発や販売に関しても、否が応でも慎重かつ完全にならざるを得ません。事が起きても「ごめんなさい」といいながら他者のせいにしたり、白々しい弁解を繰り返したりする日本の企業とは大ちがいなのです。

その歴史は、海水の淡水化からはじまった
 厳しい環境チェックがなされているアメリカで、その「安全性」と「性能」が保証されているのが逆浸透システムというわけですが、その歴史をざっと紹介しましょう。

 1950年代、フロリダ大学やカリフォルニア大学で水処理法としての人工半透膜の研究がはじめられ、次いで、アメリカ政府がデュボン、コダックなどの企業に巨額の補助金を出して逆浸透技術の研究開発にあたらせました。

 60年代には海水を真水に変えたり、真水を超純水にするなどの技術が完成し、やがて家庭用の浄水器としても使われはじめました。クィーンエリザベス70年代に入ると、海上での飲料水確保のためにイギリスの豪華船・クィーンエリザベス2世号に採用され、以後、漁船から客船、軍艦にいたるまで、ほとんどの船舶に逆浸透の造水装置が積み込まれることになります。それによって水補給のための寄港の必要がなくなり、船足を格段に速めることとなりました。

 1982年に起きたイギリスとアルゼンチンのフォークランド島紛争では、軍艦同士の戦いとなったために、世界中から逆浸透膜(ROメンプレン)が姿を消したというエピソードも残されています。

スペースシャトル  1981年にはアメリカ航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル・コロンビア号で、排水の再利用や宇宙飛行士の循環飲料水としての逆浸透装置の搭載実験が行われました。

 現在、逆浸透システムは最先端の浄水技術として各方面で活用されており、たんに飲料水としてだけでなく、海水淡水化プラントをはじめ食品、医療、農畜産など、その用途は多岐にわたっています。ちなみに、日本ではPKO(国連平和維持活動)カンボジア派兵の際、隊員の飲料水の確保のために最新式の逆痩透浄水装置が現地に持ち込まれ、話題となりました。

 こうしたスーパー機能を持つ逆浸透システムが、家庭用浄水器として日本に上陸したのが90年代半ばです。海水淡水化同じころ、沖縄の北谷町に逆浸透による大掛かりな海水淡水化が始まっています。

 アメリカでは主流といわれるこの逆浸透システムによる浄水器ですが、そのなにやら小難しい名称ゆえに普及の歩みはじつに緩慢なものでした。しかし、いまではその高い安全性が広く認知され、多くの家庭や企業で利用されるようになってきています。